資本主義に飲み込まれたある男の話し【第1話】

昨日の続きです。

※これはフィクション

トーマス起業を志す

舞台は産業革命が始まった18世紀のイギリス。

トーマスは父親と2人で羊の農場を経営しており、羊からとれる羊毛で上質なウールの生地をつくっていました。

しかしこんな田舎で上質なウール生地は売れない。パンやチーズと物々交換しながら生活をしていました。

「俺はいつまでこんな生活を続けているんだ!街に行ってこのウール生地でひと稼ぎしてやるぜ!」

トーマスが作るウール生地は光沢があり、なめらか。競合は他にもたくさんいましたが、大変よく売れました。作っても作ってもすぐに売り切れます。

街の人からは「もっとたくさん作ってくれよ。全部買うからさ!」と言われますが、父親と2人でやっているし、資金がないので生産量を増やすことはできません。

そんな状況を聞きつけてやってきたのが、最近勢いがあると評判の投資家ゴードン。

「トーマス、君のウール生地は素晴らしい!僕が資金を出すから、工場を建てて大量生産してもっと売上を拡大しちゃいなよ」(もしコイツが失敗しても羊の農場とウール生地を作る技術が手に入るから俺は損しないように計算してあるんだけどな)

トーマスは喜んで家に帰り、父親に話しますが反対されます。「普通の生活が一番なんだよ。やめておきなさい」

「普通の生活ってなんだよ。俺はお金が欲しい。お金があれば母さんだって病気で死なずに済んだはずなのに。このチャンスものにしてみせる」

トーマス実業家になる

ゴードンから資金調達し小さいながら工場をもったトーマス。

人を雇用して生産しようとしても、みんな素人なので全く生産量が増えない。

そこにゴードンがやってきて言います。

「トーマス、利益ってどうやって増やせばいいか分かるか?」

ウール生地を作るのに

材料費:2ゴールド
設備費:2ゴールド
土地代:2ゴールド
人件費:2ゴールド

「合計8ゴールドかかるよな。これを8ゴールドで売っても利益が出るようにするにはどうすればいいか。材料費、設備費、土地代は変えられない。でも人件費は1ゴールドに出来るんだよ」

「1ゴールドまで生産性を上げられないやつは長く働かせろ。それで文句を言うやつは解雇だ。代わりはいくらでもいるんだからな」

そうなんです。産業革命で田舎からたくさんの人が仕事を探しにきているので、労働力は余っている。

資本主義の基本的構造は「資本を持っている側が、労働者を安く調達した分だけ儲かる」という構図だったのです。

トーマスはゴードンの言うとおりにしましたが当然、労働者からは文句を言われてツライ。

そして父親と2人で作っていた頃のウール生地と比べると品質が落ちている。

「あれ?俺はなんのために田舎から出てきて工場をつくったんだっけ?」

つづく

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